Stand in my Belief

あなたを物語の主人公にしちゃいます☆

15cmのチョコレート嚢胞抱えながら出産した話

無事に出産が終わってほっと一息たまみです。実はお腹に巨大卵巣腫瘍があって、普通分娩できませんでした。

 

チョコレート嚢胞がこのお腹にあるとわかって、色々検索したところ「巨大卵巣嚢腫+そのまま出産」というケースを見かけなかったので、今後そんな事態になった人のための備忘録です。
*長文注意


⚫︎前段
2017年9月 アメリカ ロサンゼルスで海外赴任中に妊娠発覚
→この時点で2018年1月に帰国予定


11月 卵巣嚢腫が見つかる
→担当医師からは、このまま経過観察し、出産後の対応を勧められる


2018年
1月 ロサンゼルスにてMRI検査
→左卵巣にある嚢腫は、7cmと8cmの巨大なチョコレート嚢胞と判明
→このMRIの所見によると、悪性である(つまり癌)可能性が低いと診断される


1月12日  帰国
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初期の診断が日本で行われていたら、対応が変わっていたのかはわからない。ただ妊娠前に見つかっていれば、リスクのある妊娠を続ける必要なかったわけで、妊娠を考えている適齢期女子には、婦人科検診とっても大事☆
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⚫︎21週と1日目(1月13日)
大阪のNホスピタルにて妊婦検診。(21週目の初受診でも受け入れてもらえるように、事前に連絡していました!!)


ロサンゼルスの病院からもらった資料を提出。妊娠中ということで、嚢腫は大きい*が、いまから摘出手術をするのは難しそうなので、このまま経過観察という方針になる。


*一般的には、6cm超えると手術して摘出することが多いらしい。
*妊娠してなければ、即摘出な大きさでした。

 


⚫︎23週と2日目
大阪のNホスピタルにて、2回目の妊婦検診。ちなみにここは産婦人科専門の医院。帝王切開は行うものの、リスクのある患者や未熟児などは近くの周産期医療センターと連携して対応するタイプのところ。


わたしはここでおしゃれに無痛分娩の出産をするつもりだった!←過去形!!
が、そんな憧れ華麗に打ち砕かれる。


2回目の検診で担当医師から、チョコレート嚢胞の位置からして、子宮口が開きにくい可能性があること。わたしが希望している無痛分娩は嚢胞を抱えたままだと難しいことを告げられる。
腹腔鏡手術(お腹をちょびっと切って、嚢腫を取り出す)で、嚢腫がとれれば、無痛分娩の実施が可能かもしれないので、大阪のH病院の婦人科の先生に診断を仰ぐことになる。


⚫︎23週と3日目
大阪のH病院を受診。
卵巣嚢腫の権威(?)らしい婦人科の先生から、
-嚢腫の大きさ的に腹腔鏡手術での手術は無理なこと
-摘出するなら、開腹手術だが、癒着が考えられるので、子宮が大きくなったいまの状態での手術はオススメしない
-いつ破裂するかわからないので、出産まで東京に引っ越さないほうがいい
-無痛分娩はあきらメロン
-卵巣嚢腫なめんな
-破裂したら想像を絶する痛み
というお言葉をいただく。


ほぼすべての検診に、夫である11代目と一緒に受けてたんだけど、この日は彼の都合がつかず1人で受診。“出産まで大阪で待機”“東京で仕事できない”という事実に、病院の廊下で号泣。

今考えると号泣したのは、ホルモンの変化で情緒不安定だったからなんだけど、きちんと「チョコレート嚢胞のリスク」を教えてくれてのはこの先生。

あんな言い方せんでもって部分はあるが、感謝はしてる。


*大阪はわたしの実家があるので、里帰り出産のために帰国後まずは大阪の病院を受診していました。その後、産前休暇ギリギリまで東京で働いて(東京で妊婦検診を受ける)、34週目くらいに大阪に戻ってくるというプランでした。


⚫︎23週と5日目
H病院の診断を持って、Nホスピタルを受診。
-チョコレート嚢胞があるままでは、Nホスピタルでの出産が難しいので、周産期医療が整っている総合病院での出産をすすめられる。
-チョコレート嚢胞で一番危険なのは、ねじれること。わたしの場合は大きすぎてねじれそうもないので、この可能性はすごく低い。
-破裂の危険もあるけど、大阪にいようが東京にいようが破裂するときはする、東京に引っ越すことも問題ない。
-東京での妊婦検診も、周産期医療の整った病院をオススメする


この時点でおわかりのとおり、婦人科の先生(H病院)、産婦人科の先生(Nホスピタル)の意見はちょっと違った。


とはいえ、11代目と相談して、里帰りまでは、東京に引っ越しを決意する。


⚫︎23週と6日目
東京へ引っ越し。
わたしだけではなくて、赤子の命にも関わるので、H病院の先生の話を考慮して、仕事はこんな感じにしました。


-上司に話して、リスクをシェア。いつ倒れるかわからない可能性があることをわかってもらう
 →理解ある上司のおかげで、社外とのやりとりが発生する、いきなり倒れたら困る仕事を外してもらう


-メインディレクターで抱えていた案件をアシスタントに変えてもらう
 →もともと私のアシスタントの子に引き継いでもらって、私が彼のアシスタントに。けっこーおっきな案件だったので、不安だったけど、引き継いだ子がいい仕事をしてくれて、結果オーライな感じ。まだリリースされてないけど、お楽しみに!


⚫︎〜34週1日目まで
地域周産期医療センターに指定されている横浜のM病院にて、2週間に1回の妊婦検診。経過観察をしてもらう。
チョコレート嚢胞が大きすぎて、女医さんに立派に育てたね!と褒められる☆


余談:
当たり前のことなんだけど、M病院は分娩を担当しないので、ちょっとおざなりな感じがした。わたしみたいにコロコロ病院が変わる人も珍しいだろうけど、出産するまでかかる病院はひとつ(里帰りならふたつ)のほうがイイヨ!!


⚫︎34週と3日目
ついにわたしが分娩する予定の、大阪の高槻病院へ。ここは総合周産期医療センターに指定されていて、35週目までならもれなくどんな患者も受け入れてくれるステキな病院。そして綺麗。


いつも通りの妊婦検診のあと、分娩プランを立てるために2回目のMRIを実施することになる。


⚫︎35週と4日目
MRI受ける


⚫︎36週目
MRIの結果を受けて、分娩プランを相談


-嚢腫の位置として、1つは下を向いている赤ちゃんの頭より上なのでこれは問題ない。もう1つは、赤ちゃんの頭より子宮口に近いので、これが出産に邪魔な可能性が高い
-ってか、赤ちゃんが降りてくる位置に嚢腫ある。すごく邪魔。
-こういう場合の症例はうちの病院にはない。
-めっちゃ検索したけど、世界的にもなかった! ←!!*
-経膣分娩ができるに越したことはないので、とりあえずは陣痛を待つ
-赤ちゃんが大きくなりすぎても嚢腫の破裂のリスクが高まるので、予定日すぎるなら帝王切開
-無理に陣痛を促進したら、嚢腫が破裂するかもなので陣痛促進剤は使わない
-経膣分娩にチャレンジしてても、危険を感じたら、即帝王切開
-嚢腫が破裂したらめっちゃ痛いこと


予定を決めて計画帝王切開の可能性もあるなと思っていたけど、経膣分娩の夢を諦めない方針に全面的に同意。
とはいえ、7:3の割合で、帝王切開:経膣分娩かなと思っていました。


そして、どの先生も口を揃えて言う
「チョコレート嚢胞、破裂したらめっちゃ痛い」

怖い。


*余談
このとき、暇つぶしに観ていた海外ドラマがシアトルの病院を舞台にした医療系ラブロマンス「グレイズアナトミー」。もちろんこのドラマには、“世界的にレアな症例”が山ほど出てくる訳で、自分が“世界に症例のない患者”になったことにテンションがあがる


*ちなみに、今回はめっちゃ難しい病気ってことではなく、ただ誰も症例を公開していなかったってことだと思う。


*MRIの画像には、嚢腫からの出血の後が見られたので、仕事減らしておいてよかった!


⚫︎37週と3日目
正産期にてはじめての妊婦検診。ゴールデンウイークで大阪にいた11代目と一緒に病院へ。
-嚢腫が邪魔して赤ちゃんがおりる気配がないこと
-嚢腫が邪魔なのか、赤ちゃんがやや小さめなこと(2300g。とはいってもギリギリ正常値)
-帝王切開の日を決めちゃおう!ってことで、5月21日(39週と3日目)の帝王切開が決まる


⚫︎38週と1日目〜2日目
帝王切開まで、平和な日々の予定が、お腹張ることが多くて、しんどい。そして、ゲーリーになる。身体の調子がおかしいと思いつつ、赤ちゃんが降りてからでないと陣痛は起きないんでしょっとたかをくくって、普通の日々を過ごす。


⚫︎38周と3日目
1日中ゲーリーに悩まされるが、夜にゲーリーとは違うお腹の痛みにビビる。東京にいる11代目に連絡。帝王切開の日までもたない気がすることを伝える。
なんとなく不安だったので、入院荷物をすべてまとめてから、お腹の張りがしんどーと思いながら就寝。


⚫︎38週と4日目
9:30am お腹張ってるな〜と思いながら、ベッドでゴロゴロ。生理痛のようなお腹の痛みも混じっているが、不規則なので前駆陣痛ってやつかな〜と楽観視。


10:30am トイレ行くと出血あり。ヤバイ。
11代目を電話で起こし、状況を話したあと病院へ電話。計画帝王切開の予定だったことを伝えると、入院荷物を持ってすぐ病院に来るように指示される。


たまたま実家に誰もいなかったので、陣痛タクシーを呼んで、1人で高槻病院へ。さみしい


11:30am 病院到着。すぐに診察してもらえる。「陣痛かなー」って言っていたら、内診の結果、陣痛であることが確定。初期の陣痛とは、これほどにわかりにくいものである。


そして、1:00pmからの緊急帝王切開が決定。


病院にひとりぼっち!!
想定してた出産プラン(夫に見守られながら手術室へ*)との違いに、すごーく冷静になる。


*11代目に「今までありがとう」「なにかあったらお腹の子を...」とか言いたかった。


1:00pm 家族が誰も病院に着いていないので、同意書のサインが書けず、待ち。


1:15pm 父到着。手術の説明を受け、手術室へ。


1:30pm〜5:30pm 手術
麻酔打ったり色々していたので、実質3時間の手術でした。


はじめの1時間→帝王切開。赤ちゃん取り出し。→出てきてすぐの泣き声を聞いて、ちょっと泣いちゃう


後半2時間→卵巣嚢腫摘出成功。ついでに子宮筋腫も見つかったのでトル。


半身麻酔だったのと、グレイズアナトミー好きとしては“手術”に興味あったので、麻酔の先生に「興味あるから寝ません」宣言をし、はじめから終わりまでがんばって起きてる。


3時間手術を聞いてた結論
グレイズアナトミーほど、先生たちは雑談しない。スワン鉗子のことを「スワン〜」って呼んでて可愛いかった。全然痛くなくて麻酔は偉大。麻酔は神。


5:30pm 病室へ。東京から駆けつけた11代目の合流。わたしの手術中、ずっと移動してた感じ。


身体が動かないので、3時間おきに助産師さんに手伝ってもらいながら授乳。

そして、起き上がれないので赤ちゃん泣いてもなにもできない。泣いてもすぐ対応しないで観察する育児を、初日から予期せず実践することになる。


麻酔が切れてきてので、痛みと発熱がはじまる←イマココ


水も飲んじゃダメなので、定期的に氷をもらいながら渇ぐ。卵巣嚢腫摘出手術のブログ読んだら、1日目(5/14)の晩が超絶痛いって、書いていたけど、痛めの生理痛って感じで一応耐えられる。
たぶん、出産ハイだから。


そんな感じで、陣痛はほぼ経験せず、お腹かっさばいて赤子と嚢腫を取り出しました!
出産ってより、赤子摘出手術受けた気分。


このテキストをベッドの上でポチポチ打った程度には、元気です。

 

術後経過のメモはこちらから

15cmのチョコレート嚢胞抱えながら出産した話 2 - Stand in my Belief